・美術

2011.02.19

日本伝統工芸展

全国を巡回しているこの展覧会,結構好きで毎年見に行きます。
美しいものを生み出す技の数々は予め失われており(我が最愛の汝窯の雨後天青のように),私たちは美術館で過去から残された美の面影を眺めているんだ・・・・という思いに駆られることが時々あります。
こういう展覧会を見ると,美しい技が今も脈を打って生きているんだなあと感じられて無性に嬉しくなってしまう。

印象に残った作品いくつか。
■被硝子切子鉢(きせがらすきりこばち)「雪の夜」/小川郁子
110130_1
黒いガラスに切子で雪の結晶を描き出した作品。切子のすっきり凛としたカットが雪のイメージにピッタリで素敵。

淡青釉裏銀彩花春秋文鉢(たんせいゆうりぎんさいはなしゅんじゅうもんはち)/中田一於
110130_2
写真よりももっと淡い微妙なコバルトブルーだったと思います。内側から仄かに光を放っているような不思議な感じ。「釉裏銀彩」といって,白磁の素地に文様に切った銀箔を貼り,その上に低火度釉を掛けて焼く技法だそうです。

■乾漆切絵文笛箱「桜川」/根本曠子
写真がなくて残念なのですが,漆とは思えないような微妙な色彩で桜の花びらが表現されていて美しいです。


会場で配布されていた「親子ガイドブック」が大変秀逸でした。染織・金工・漆芸等の技法について,制作方法や特徴が説明してあり,「彫漆」「蒟醤」「沈金」の違いなど,参考になりました。何よりわかりやすい言葉で書いてあるのが好いです。

工芸展の作品は,日本工芸会のホームページで紹介されています。
伝統工芸なぞなぞ百科」のコーナーでは,「親子ガイドブック」のような語り口で,「なぞなぞ」をときながら楽しく伝統工芸を理解できます。ワタクシ,ちょっとハマってしまうました。。(笑)

--->日本工芸会ホームページ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011.01.18

なにものかへのレクイエム

年越して,まだ思い出し書きメモ(^_^;)

101205なりきりっ子ゲージツ家の森村泰昌さんの,20世紀の群像をモチーフにしたセルフポートレイト。この人は~,どんだけ自分が好きなんだよ!!と笑わせながらも,20世紀という時代への真摯なオマージュになっていて,よかったです。
三島由紀夫とレーニンの演説ビデオが隣り合った部屋で上映されていて,三島が「静聴せよ!」と言ってる横でレーニンが「・・・むなしい!」と応えてるように聞こえるのが可笑しかった。ヒトラーの演説は,あやしげな大阪弁まじりだし(笑)やぱり現代美術とお笑いの世界は,通じるものがあると思う。
日曜美術館でこのシリーズのメイキングを見たのですが,森村さんの両親が営んでいたお茶やさんで撮影されたという昭和天皇とマッカーサーの2ショット写真が印象的でした。屋外のスペースに記念碑のように立てられている展示方法も良かったです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.12.04

瀬戸内国際芸術祭2010-その参

9月20日 直島ふたたび

前回の心残りを果たすべく,再び直島へ。
9月の大型連休真っ只中のためか,行きの船から超満員。芸術祭案内所の情報によると,地中美術館の入場整理券は既に午後3時からしかないとのこと。芸術祭中の観覧はあきらめるしかなさそう。

110924ということで,もう一つの心残り「I ラブ 湯(大竹伸朗・graf)」へ。
ノスタルジックな小石タイルを敷いた湯船に,キッチュな壁画や水栓など,見ていて楽しい。窓からはサボテンや椰子の木が眺められて,ジャングル風呂の風情。そして,男湯と女湯を隔てる壁の上には北海道の秘宝館からやってきた象の「サダコ」が鎮座しています。
湯上りには,直島銭湯オリジナルのラムネ(その名も「ラブネ」(笑))をグイッっと。やー,ええ湯でした(^^)

ゆるゆる歩いて宮浦地区の家プロジェクトめぐり。
千住博の「石橋」は,約100年前に建てられた家の母屋と倉を使った展示。部屋をまるごと山水画に仕立てた「空の庭」。仄暗い倉の中に,幅15メートルに及ぶ大作を置いた「ザ・フォールズ」は圧巻。歳月に磨かれた木の床に,描かれた滝の姿が映りこんで,あたかも水面を見ているようでした。

そのまま歩いて島の反対側の本村へ。結構な距離に大後悔(涙)。
でも道々面白いものも見られたり。
こちらは直島漁協。なまじなアート作品より面白い。
110924_1
110924_2110924_3
ベネッセハウスパークで,運良く展示作品の鑑賞ツアーに参加することができました。杉本博司の「光の棺」は,9・11にインスパイアされた作品。もともとはホテルのホワイエとして使われていた部屋をこの作品のために改装して展示したのだそうです。建物を設計した安藤忠雄に敬意を表して,入口ロビーのスリット窓の形を象った照明器具を床に配しています。彼の好物である羊羹にちなんで「光の羊羹」というのだとか。
[追記:こんな記事を見つけました。興味のある方はどうぞ。--->対談:安藤忠雄×杉本博司
110924_4
草間彌生の黄色いカボチャ。
瀬戸内海をのんびり見遣っているようです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.11.22

瀬戸内国際芸術祭2010-その弐

8月9日 女木島・男木島

帰省中のヨーコちゃんのリクエストで,この日は女木島と男木島を回りました。瀬戸内国際芸術祭のことはヨーコちゃんから教えてもらって知ったのですが,全国的にはテレビや雑誌などで特集されているのに,近隣県ではあまり話題になっていないような気がします。

瀬戸大橋を渡って,高松の日の出製麺所「讃岐の夢」のうどんで昼ご飯。高松港から船に乗って,まずは女木島へ。
この日はデジ亀を忘れたのでケータイのしょぼ写真でスミマセン。。

100809_12つの島の作品は,空き家となった古い民家を利用した展示で,木の柱や土壁,蔵などが作品と一体になり,さらには島の風景とも響きあっていて,好い感じです。
風除けの石垣がある海岸近くの集落にある「均衡(行武治美)」。天井から床まで,無数の鏡を連ねた作品で,ほの暗い屋内に隙間から差し込む光が微妙な表情を見せています。

廃校を改装した美術館・福武ハウス(撮影禁止だったので、写真ナシです。)。学校当時の子ども達の描いた作品や掲示物などもそのまま生かした展示になっていて面白い。こちらは常設なので,会期終了後も見られます。

100809_2さらに船を乗り継いで男木島へ。
坂道の狭い路地沿いに密集した民家を一軒ずつ探し当てるように,作品を訪ねます。

まずは私のお目当ての松本秋則の2つのサウンドインスタレーション「音の風景(瀬戸内編)」。
納屋(鳥小屋?)に吊された鳥の羽でできたオブジェが,囀るように鈴を鳴らします。
100809_3
こちらはかまくらを思わせるような空間に,竹のオブジェ。
涼しげな音色に揺れていました。
飛行器械のようにも見えます。

もうひとつ,楽しみにしていた井村隆の「カラクリン」は,展示会場の喫茶店がお休みで見られず,残念でした。

100809_4
続いて,ヨーコちゃんが見たがっていた「SEA VINE(高橋治希)」。
陶器のお花を部屋一面に巡らせた,繊細で幻想的な展示です。
部屋の窓から見える瀬戸内の海も美しい。

100809_5100809_6
こちらは「うちわの骨の家(西堀隆史)」。
文字通り,うちわの骨で涼しげな模様を編み上げています。

プロジェクトを行き来する道筋にもウォールペインティングや楽しげなオブジェがあって,あちこちに寄り道したくなります。
船の時間のため,ゆっくり見られなかったのは残念でしたが,存分に楽しみました。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.11.14

瀬戸内国際芸術祭2010-その壱

7月25日 直島
(李禹煥美術館,ベネッセハウスミュージアム)
犬島から帰って岡山市内に泊まり,翌日は直島へ。
ベネッセハウスミュージアム,家プロジェクト,地中美術館などがあり,最近は「アートの島」として訪ねる人も多く,瀬戸内国際芸術祭の中心的なスポット。日曜日ということもあって,朝から大混雑。地中美術館は開館前10分前に着いたのですが,すでに午後3時からの整理券しかないとのことで,観覧は断念。
100725_1猛暑の中,ゆるゆる歩いて李禹煥美術館へ。地中美術館と同じく安藤忠雄による建築。
写真は美術館のエントランス。美術館ということを知らなかったら,屋外のオブジェと思って行き過ぎてしまいそう。
さらに歩いてベネッセハウスミュージアムへ。海に臨む高台の建物で,美術館とホテルが一体になっています。ここに泊まって,島内の美術スポットを堪能できたら好いでしょうねー。
100725_2ベネッセハウス前の海岸にある蔡國強「文化大混浴 直島のためのプロジェクト」。直島の「ツボ」に当たる位置に太湖石に囲まれたジャグジーバスを配し,全世界の人が集まって身体を癒す場になることを意図したもので,実際に入浴することもできるそうです。海に映る夕焼けとか眺めながら入れたら素敵でしょうね(^^)
100725_3風呂つながりで(笑),こちらは宮浦港の近くにある直島銭湯「I 湯(アイラヴユ)」。
大竹伸朗によるプロデュースで,島で日常的に使われている銭湯です。

宙に浮かぶ「ゆ」印。ウキウキしますわ~。
100725_4外装のカラフルなタイルと不思議でかわいいオブジェ。
100725_5お風呂にも入りたかったのですが,またの機会に。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.01.12

「サイレント」展 藤本由紀夫アーティスト・トーク

とゆことで,φ(..)メモメモざんす。>昨日の現代美術館

特別展の「一人快芸術」は,トーク前にさらりと見ようと思っていたのですが,結構おもしろくて時間がかかってしまいました。佐藤修悦さんによるガムテープ文字「修悦体」,いいなあ。フォントにしてくれないかしら(笑)

藤本さんのトークは,「サイレント」展のクロージングイベント。
何も演奏しない状態を作品として提示したジョン・ケージの<4分33秒>を起点として,音と美術に思いを巡らす現代のアーティストたちの作品を紹介するという趣旨の「サイレント」展に因んだ講演。藤本さんの今までの作品の紹介・解説もあって楽しかったです。

・音楽の要素は,古くはメロディー・リズム・和音と言われていたが,今では音の高低・音の強さ・音色,これに音の長さ(時間)が重要な要素となっている。音が鳴っている時間と等しく,音が鳴っていない時間が大切。これを表現したものが<4分33秒>。
・最近の学生と話していると,「感じる」ことよりも「考える」ことを求めているように思う。アートも鑑賞者が参加して初めて完成する,という様式のものが増えていくだろう。

美術もライヴになっていくんですねー。なんだかワクワクします。
藤本さんには一貫して「音楽家」という意識を感じます。
今は,オブジェの穴を通したピンホール写真による表現を試みていて,それがうまくいけば「写真家」を名乗ろうかな,などど仰言ってました(笑) なんか,面白そう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.11.04

SILENT-サイレント展

091103プレイヤーの上に載っているのは,氷のレコード。
ちゃんと音も鳴るんですよ(*^_^*)
久しぶりに現代美術館に行ってみたら,文化の日ってことで入場無料でした。
荒木経惟(アラーキー)の「広島ノ顔」がお目当てだったのだけど,ちょうどこの日から開催の「SILENT」(サイレント展)が思いがけず面白くて,ヨカッタです。
この日はオープニングイベントとして,作家によるパフォーマンスやギャラリートークもありました。藤本由紀夫さんも出展者の一人として,いらしていました。
写真のレコードは八木良太さんの「Vinyl」。展示されている状態では,冷蔵庫の上にレコードプレーヤーが載っているという変哲のカケラもないようなオブジェ。八木さんが冷蔵庫の扉を開けて,氷のレコードを取り出し,プレーヤーの針を落とすと,レコードが音を奏で出す・・・・・何巡かするうち,氷が解けてレコードの溝が薄れ,ノイズや音飛びが出てくる。やがてノイズ交じりのリフレインとなり,フェードアウトしていく・・・・・・そして,頭の中にはメロディーの残響がかすかに残る。無音に還っていく瞬間までが一つの演奏になってるようでうつくしい。
ちなみに,氷のレコードはレコードをシリコンで型取りしたものを製氷皿にして作っています。これは,藤本さんがレコードをパックして,剥がしたパックをプレーヤーに架けたら音が鳴った,という話から発想したのだそう。ディスクに溝を刻むことで音が奏でられる,という不思議さ自体に心惹かれるものがある,といったことを仰言ってました。
サイレント(無音)をテーマにしながら,「音」というものが際立って感じられるような展覧会でした。

展覧会は2010年1月11日(月)まで。最終日には藤本由紀夫さんによるアーティスト・トークもあります。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2009.05.17

那覇市歴史博物館

1泊2日の急ぎ旅だったので,ついで観光は那覇市内のみ。
いい機会なので,美術館めぐりをしてみました。沖縄の紅型,織物,螺鈿,漆器など工芸品が好きで,ぜひ見てみたかったのです。
観光案内で展示している場所を尋ねてみたのですが,いまいち要領を得ず。
ガイドブックを見ながら,那覇市歴史博物館に行ってみました。ここは,沖縄県で唯一の国宝「琉球国王尚家関係資料」を常設展示しています。
照明を落とした特別展示室に,紅型,螺鈿細工,陶器など,綺羅星のような工芸品が静かに佇んでいます。中でも素晴らしかったのが,黒漆貝尽螺鈿漆絵硯箱・料紙箱。骨貝・鮑・海星など,さまざまな貝のモチーフが黒漆の地に夜光貝の螺鈿で表現されていて,まるで海の底の景色を写し取ったよう。うつくしい~!!!
季節に併せたような菖蒲模様の紅型も素敵でした。

小さな博物館ですが,超おすすめ!
ゆいレール県庁前駅の隣のショッピングセンター「パレットくもじ」4階なので,気軽に行けます。

--->おきなわBBtv「那覇市歴史博物館」

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.04.09

並河靖之七宝記念館

090405_5京都に行った折,以前やへさんに教えていただいた並河靖之七宝記念館に行ってみました。
並河靖之の住居兼工房を改装したもので,町屋造りの風情が残る可愛らしい美術館。工房や窯場も残されていました。棚にならんだ釉薬が魔法の薬の壜みたい。中庭には,並河氏の作品を思わせるような枝振りの泰山木や紅葉が植えられていました。
090405_6
「七宝の花を愛でる」と題した特別展が開かれていて,花をモチーフにした作品や下絵が展示されていました。藤や芙蓉などの華やかな花の足元に小さくあしらわれたレンゲやタンポポやスミレが愛おしい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.04.07

田渕俊夫展

090405_3
日本画家・田渕俊夫さんの智積院講堂襖絵の完成を記念した展覧会。日曜美術館で見た絵が美しかったので,見に行ってみました。
緻密なスケッチをOHPで襖の上に投影して,描いていくという手法で表現された墨絵。
モノトーンのはずなのに,枝垂れ桜のピンク色や春の柳の淡い緑,すすきの穂にきらめく黄金色の陽射しが見えてくるのが不思議。光そのものを写し取っているようです。
今回は1枚絵としての展示でしたが,実際にお寺の部屋に嵌められた姿も見てみたいなあと思いました。
090405_4

--->日曜美術館「時を刻む襖(ふすま)絵~日本画家 田渕俊夫~ 」

| | コメント (2) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧